耐震診断がなくても売却自体は可能

旧耐震基準や耐震診断未実施を理由に、一律に売買契約が禁止されるわけではありません。一方で、買主が利用する住宅ローン、税制、保険、将来の修繕負担などの判断材料が少なくなり、購入候補者や価格、販売期間へ影響する場合があります。

売主側で安全性を断定するのではなく、取得できた資料と確認できなかった事項を明示し、旧耐震物件の販売実績がある会社へ説明方法を確認します。

まず『未実施』『未確認』『資料なし』を分ける

ポータルサイトや重要事項説明書に記載がなくても、過去に管理組合が診断や予備調査を行っている場合があります。管理会社へ、診断報告書、理事会・総会議事録、補助金申請記録の保管状況を照会します。

実施した事実は確認できるが報告書が見つからない場合と、管理組合が実施していないと回答した場合は意味が異なります。問い合わせ先、回答日、回答内容を記録してください。

管理会社へ確認する7項目

診断の有無だけでなく、対象棟、実施年、評価指標、専門機関、補強提案、その後の決議を確認します。

  • 耐震診断報告書の有無と実施年
  • 棟別・階別など診断の対象範囲
  • Is値等の評価指標と第三者評定
  • 診断後に示された補強案と概算費用
  • 補強工事の実施範囲と完了資料
  • 総会での決議・継続検討・否決の記録
  • 自治体補助制度の利用・相談歴

診断しない理由にも複数ある

費用、構造図の不足、所有者の合意形成、建替え検討との重複など、診断に進まない理由はさまざまです。理由を把握せず『問題があるから診断できない』と推測しないことが大切です。

診断を実施するかどうかは共用部分に関する管理組合の意思決定が関わります。区分所有者一人だけで取得できる証明や実施できる調査とは限らないため、売却期限から逆算して確認します。

査定会社へ同じ資料を渡して比較する

診断資料がない場合は、その事実と照会結果を複数の査定会社へ同条件で伝えます。査定額だけでなく、想定する買主層、利用実績のある金融機関、説明資料、販売期間、買取価格を質問します。

資料がないことを隠すより、買主への説明方法と融資への影響を比較する方が合理的です。売却期限がある場合は、仲介と買取を同時に確認して切替日を決めます。

FAQ

よくある質問

耐震診断がないと売却できませんか?

一律に売却不可ではありません。ただし、買主の判断、住宅ローン、価格、販売期間へ影響する可能性があります。未実施と未確認を分け、複数社へ同じ情報で査定を依頼してください。

売主一人でマンション全体の耐震診断を依頼できますか?

共用部分や建物全体の診断には管理組合の意思決定が関わるのが一般的です。まず管理会社・管理組合へ過去資料と検討状況を確認してください。

診断資料がない場合、何を買主へ伝えればよいですか?

照会先、回答日、確認できた資料、確認できなかった事項を分けて伝えます。安全・危険を推測で断定せず、仲介会社と重要事項説明の範囲を確認してください。

OWNER DECISION GUIDE

不安を、確認できる判断材料へ

寿命、耐震、管理、売り時を一つの印象で決めず、物件資料と市場の両方から確認します。

確認した資料・参考論点

国土交通省|住宅・建築物の耐震化国土交通省|マンション耐震化マニュアル
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の耐震性、売買、融資、税務・法務判断は、対象物件の原本資料をもとに専門家へご確認ください。